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アメリカで看護師になるには?必要な資格や就労ビザについて解説

  • 医療英語学習コラム

現在日本で看護師として働いている方や、看護師を目指して勉強をしている方の中には、「将来はアメリカで看護師として働いてみたい!」と考えている方もいるのではないでしょうか。コロナの影響で今まで以上に日本と海外の労働環境や待遇についての比較がなされるようになったことで、アメリカの職場での仕事内容や待遇、給与面などを踏まえ、アメリカでの仕事を目指して行動を始める方も増えてきました。

アメリカで看護師として働くということは、言語や文化の違いだけでなく、ビザや試験など、クリアしなければいけないことは山積みであり、決して簡単なことではありませんが、何事も一つ一つのステップを理解し、乗り越えていく事で目標は達成できるものです。この記事では実際のアメリカでの看護師の待遇やお仕事内容をご説明した後に、アメリカで看護師になるための方法を一つ一つわかりやすく解説していきます。

アメリカと日本の看護師の役割や待遇の違い

アメリカと日本では、看護師だけでなく、多くの職業において役割や待遇が大きく違います。これは仕事に対する考え方の違いが大きいためだと考えられています。特に看護師という職業においてはアメリカと日本の違いが非常に分かりやすくなっています。

アメリカの看護師の役割は職種で異なる

まず、アメリカの看護師は大きく分けて以下の4つの役割(職種)があり、それぞれの役割が明確に違うため資格取得や専門性も異なります。

・正看護師(RN: Registered Nurse)
・高度看護実践看護師(APRN: Advanced Practice Registered Nurse)
・准看護師(LPN: Licensed Practical Nurse又はLicensed Vocational Nurse)
・看護助手(CNA: Certified Nursing Assistants)

一方、日本の看護師は保健師助産師看護師法により、「看護師」「准看護師」「助産師」「保健師」の4つの職種に分かれています。そもそもの業種の数がアメリカと日本では違う為、アメリカの方がそれぞれの職種の役割がより明確な仕組みになっています。ここからはアメリカの看護師の4つの役割を細かく見ていきましょう。

正看護師(RN)は医師と同等の立場

正看護師(RN: Registered Nurse)
病院やクリニックなどで主に勤務し、看護や診療補助などを行います。基本的な業務内容は日本の看護師と変わりませんが、正看護師の立場は医師と同等とみなされています。この点が日本とは大きく違う点です。アメリカの正看護師は専門性が高く、医師に匹敵するほどの知識を有しているという共通認識から、何事も医師の指示を仰ぐというよりは、対等な立場での意見交換を求められます。もう一点、日本の看護師との違いは、カルテ管理などの事務的な業務を行わないという点です。これらの業務は看護助手に任せることができ、その分正看護師は看護業務に集中することができます。
※RNは「BSN」と「ADN」の2種類があります。BSNはBachelor of Science in Nursingの略で大学卒業レベルの資格で、一方ADNはAssociate degree in nursingの略で短大卒業レベルの資格です。どちらも「NCLEX-RN」というアメリカ合衆国の正看護師資格試験を突破した上での資格取得となりますが、レベルによって取得する資格が異なります。また、日本での専門卒看護師と大卒看護師のように、給料やポジションが異なることが一般的です。

准看護師(LPN)は医師や正看護師の指示を受ける立場

准看護師(LPN: Licensed Practical Nurse又はLicensed Vocational Nurse)
准看護師の仕事は正看護師と比べてそこまでの違いはありません。ただし、医師や正看護師の指示を受けて業務をしなければならないと法律で定められています。そのため、医師や看護師の補助を主に求められます。また、准看護師の仕事には医師や看護師の補佐やルーティンワーク(患者のケア・健康状態の観察)も含まれます。
※准看護師はLPNとLVNという2通りの呼ばれ方がありますが、これは州によって呼び方が異なるだけで、深い意味はありません。

看護助手(CNA)は看護師の補佐をする立場

看護助手(CNA: Certified Nursing Assistants)
アメリカの看護助手の仕事は日本の看護助手と同様、患者さんの介助がメインとなります。ただし、日本では正看護師が主に行う血圧測定などもアメリカでは看護助手が行います。このように、日本では正看護師が行う仕事の一部を看護助手が担うことで、アメリカの正看護師の負担を軽減しています。
また、アメリカの看護助手になるためには8~16週間のコースを受講する必要があり、コース修了後に資格を取得しなければ看護助手になることはできません。その点からも、日本の看護助手よりも時給が高い傾向にあります。(日本で看護助手になるために資格は必要ありません)

高度看護実践看護師(APRN)は専門的な役割を担う立場

高度看護実践看護師(APRN: Advanced Practice Registered Nurse)
高い専門性と優れた看護実践能力をもつ看護職者を指します。また、高度看護実践看護師の中に、更に細かく「ナースプラクティショナー」「クリニカルナーススペシャリスト」「麻酔専門看護師」「看護助産師」があります。
APRNになるためには、看護師として2~3年間以上病院等で働いた後に修士課程に進む必要があります。APRNの役割と責任を全うするには実務経験がなければ困難なためです。また、修士課程を卒業後にはアメリカの各州にて行われる州立試験の受験・合格が必要となります。※修士課程にどの分野を選択するかにより、ナースプラクティショナー・クリニカルナーススペシャリスト・麻酔専門看護師・看護助産師に進むかが決定します。
それぞれの分野での役割は異なりますが、主に診断・治療・医療チームメンバーの教育、処方権がある場合には薬の処方、患者が治癒するまでのフォローアップ・研究等が主な業務内容になります。

アメリカの看護師は給料が高く待遇が良い

アメリカ合衆国労働統計局の2021年の調査(2022年4月発表)によると、アメリカの正看護師の平均年収は$82,750となっており、日本円にして約1,190万円(1ドル144円として計算)となり、厚生労働省が発表した令和3年賃金構造基本統計調査によると、2021年の看護師の平均年収は498.6万円ですのでアメリカの正看護師の2分の1以下となっています。また、待遇面でも非常に優遇されています。働く場所によって異なりますが、健康保険・長期休暇・有給・育児関連の待遇・大学等の学費のサポート等多岐に渡ります。
参考: アメリカ合衆国労働統計局

アメリカで看護師になるにはどうすればいい?

アメリカで看護師になるには、以下の2つの方法があります。

1.日本の看護師免許をアメリカの免許に書き換える
2. アメリカの短大や大学に入学し、アメリカの看護師免許を取得する

現在、日本の看護師免許を持っている方の場合の多くは書き換えを選択されています。とはいえ、英語力に不安のある方は、お金も時間もかかってしまう方法ですが、短大や大学に通うことを選択されるケースもあります。日本で免許を取得してから、アメリカに移りテストを突破するのか、それとも最初から留学を選択するのか、現在学生の方にとっては非常に悩ましい選択かもしれませんね。

日本の看護師免許を持っていない場合

日本の看護師免許を持っていない場合、まずはアメリカの短大または大学にて看護学を学ぶ必要があります。卒業後にNCLEX-RN(国家試験)を突破すれば資格取得となります。簡単に書きましたが、アメリカの短大や大学に入学・卒業するための英語力はもちろん、アメリカの大学の授業料はアメリカ人よりも留学生の方が高額に設定されているため、多額の費用がかかります。

日本の看護師免許を持っている場合

日本の看護師免許を持っている場合、2つの関門をクリアする必要があります。

1.CGFNSという試験と審査に合格する。
ここでは看護師に必要な専門的な知識と英語力の両方が必要になります。州ごとに審査内容や試験内容が異なるため、受験の際には確認が必要です。

2.CGFNSに合格後、NCLEX-RNという試験に合格する。
NCLEX-RNはアメリカの国家試験で、正看護師になるためにはこれに合格しなければなりません。制限時間は6時間と非常に時間のかかる試験です。※NCLEX-RNを受験するにはCGFNSに合格しているだけでなく、TOEFL iBT等のテストで一定以上のスコアを取得して英語力を証明する必要がある場合があります。

上記の条件を満たした上で、就職先が決まればアメリカで看護師として働けるようになります。ただし、外国人がアメリカで働くには、さらに就労ビザを取得しなければならず、ここも大きなハードルとなっています。

アメリカで看護師になるには就労ビザが必要

NCLEX-RNを突破した後は、実際に働くためには就職活動を行い、就労ビザを取得する必要があります。就労ビザの種類はH1-BやO-1などがありますが、最も一般的なのは永住権を取得する方法です。永住権やビザを取得するためには、スポンサー(雇用主)を見つけるいわゆる「就職活動」が必要になりますが、これが非常に大変です。アメリカの採用基準には「ポテンシャル採用」というものはほとんどありません。「入社後すぐに、何ができるのか」が最も大事になります。そのため、働く前に必ず働きたい病院や施設でボランティア活動を行ったり、OPTなどの期間限定労働許可を利用して病院等で実際に働いたりしながら自分の仕事力をアピールすることで雇用先から信頼を得る必要があります。
雇用主が見つかったら次にしなければいけないことは、就労ビザや永住権申請の代行をしてくれる信頼できる移民弁護士さんを探します。就労ビザや永住権は申請すれば必ず通るものではありません。様々な手続きが必要になりますので、実績がある信頼できる移民弁護士さんを選ぶようにしましょう。

アメリカで看護師になるにはまずは情報収集から

これまでの記事でもお分か裏になるかと思いますが、アメリカで看護師になることは容易ではありません。しかし、一つ一つステップをクリアしてアメリカで看護師として活躍している方もいることは事実です。
英語力の向上はもちろん、各種テストに関する対策、ビザ申請方法、弁護士の選定、実際の現場での働き方や求められる英語力、給料や同僚との関係性などに関して最も効果的な方法は実際にそれらをクリアし、体験している人から話を聞くことです。生の情報に勝るものはありません。

海外で働くための情報収集や医療英語学習なら「めどはぶ」

海外の医療現場で実際に働いている人から情報を得たい!という方は「めどはぶ」というサービスを利用してみてはいかがでしょうか。「めどはぶ」は、NY州マウントサイナイ大学病院老年医学・緩和医療科にて医師として活躍している山田悠史先生が立ち上げた有志団体です。山田先生自らの英語学習経験やアメリカでの就職活動の経験を基に、海外志向の医療従事者に向けた情報発信をしています。現在、山田先生の想いに共感した海外の医療現場で活躍する医師・薬剤師・看護師が10名以上の在籍し、様々な側面から海外志向のある日本の医学生や医療従事者のサポートをしています。

また、「めどはぶ」では、海外の医療現場で活躍している医師と海外での就職を目指している方々が気軽に交流できるオンラインサロンの運営や、本格的な医療英語学習プログラムの提供を行なっています。医療現場で使える医療英語を学びたい!海外で働くための情報が欲しい!という医師、看護師、医療従事者の皆様を方はこちらから詳細をご覧いただけます。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!
この記事を通して1人でも多くの方が、アメリカで看護師になる夢を掴むきっかけになればそれほど嬉しいことはありません。千里の道も一歩から。計画を立て、一つ一つ課題をクリアしていきましょう!

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