「私なら~します」を英語で言うと?
《例文1》
医者①:What do you think is the best next step in this case?
(この症例で、次のステップとして何が最善だと思いますか?)
医者②:I would order an abdominal CT.
(私なら、腹部CTをオーダーします。)
《例文2》
I would start empiric antibiotics.
(私なら、経験的な抗菌薬治療を開始します。)
《例文3》
What medication would you choose?
(あなたなら、どの薬を選択しますか?)
《解説》
今回ご紹介するのは、「私なら」「あなたなら」という仮定法を用いた表現です。
「仮定法」というと、“if”を使うイメージかもしれませんが、
日常会話では、“if”を使わずに仮定法が使われることがよくあります。
“I would order an abdominal CT.”という文頭の文章の前に、
“If I were you~”(もし私があなたなら)が省略されている、と考えるとわかりやすいかもしれません。
結果として、「私なら、腹部CTをオーダーします」という意味になります。
ここで注意が必要なのは、“I will do it.”と“I would do it.”では、
「音は似ていても、意味は大きく異なる」ということです。
たとえば、指導医との会話で、指導医が“I will do it.”と言った場合、
それをやるのは指導医であり、下級医は任せておけばよい状況です。
一方で、指導医が“I would do it.”と言ったのであれば、
指導医は「私なら、それをやる」と言っているだけで実際に指導医がやるわけではなく、
上下関係の中での発言であれば、少し丁寧に「それをやってください」と言っているのに近く、
命令に近いニュアンスです。
実は私も渡米したばかりの頃に、この聞き間違いをしたことがあります。
指導医が“I would order…”と言っていたのを“I will order…”と勘違いして、「指導医がやってくれるのか」と思い込んでいたら、
後で、「やっておいてと言ったのに、なんでオーダーしていないの?」と怒られたのです。
その時、“I would…”の恐ろしさを知りました。一語の違いで意味が180度変わってしまうのです。
“if”が登場しない仮定法、聞き間違いをするとこんな風に大きく意味が変わってしまうので、
ぜひ注意して聞くようにしてください。
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